一度は夢みる印税生活。
但し、いきなり夢を壊すようで心苦しいですが、100万冊のミリオンセラーを出せたとしも印税生活で一生を終えるのは厳しいです。
当記事では、なぜ印税生活が難しいのかの裏付けや、そもそも印税とはどのような仕組みなのかなど、印税に関して網羅的にご紹介致します。
先に、印税生活が送れない裏付けを知りたい方は、ページ下部の「ミリオンセラーでも印税生活を送れない理由」をご覧ください。
▶印税に課せられる税金
▶印税生活は夢のまた夢である理由
そもそも印税ってどんな仕組み?
そもそも印税というものが、どういった仕組みなのかご紹介致します。
印税とは?
著作物の版権を持つ会社が、販売して得た収益の一部を著作物使用料として、著作権者へ支払う金銭の事を意味します。
もう少し詳細に解説致します。
印税とは権利による収益
基本は、レーベル(販売会社)・アーティスト(著者)が居て成り立つ構造であり、レーベルが「版権」を持ち、アーティストが「著作権」を持っています。
1つの商品を制作・販売し、その売上がレーベルに入ります。
その売上の一部をアーティストと合意している著作権料率(=印税率)をアーティストへ振り込むのが一般的な構造となっています。
印税がもらえる種類
上記で紹介した仕組みは、本だけではなく、CD&DVD、マンガ、音楽(カラオケ/作詞/作曲)などにも該当します。
著者として制作した権利を保持する事で、売れた一部を収益という形で受け取るのが「印税」という事ですね。
また、スマホが普及した事で、今では、音楽業界の収益構造も大きく変化し、SpotifyやAppleMusicでは、各サービス内で再生された数に応じて、著作権使用料(=印税)を支払うケースも成立しています。
意外とカンタンな印税の計算方法
印税の大まかな概要については、ご理解いただけたかと思いますので、次はその印税をどのように算出するのかをご紹介致します。
かなりシンプルなので非常に覚えやすいです。
印税の計算方法 = 販売価格(税込)× 販売部数 × 印税率
計算式は上記の通りなので、実際に数字を当てはめて事例としてご紹介致します。
算出事例として、本を題材にし、定価が1,000円で販売部数が3,000冊、印税率が8%の場合をご紹介致します。
例)本の定価が1,000円・販売部数3,000冊・印税率8%
1,000円(税込)× 3,000冊 × 8%=24万円
上記の事例の場合の印税単価
1,000円(税込)× 1冊 × 8%=80円
上記の計算事例から、本を3,000冊販売できた場合、24万円の印税が入る計算となり、1冊辺り80円の印税収入であるという事になります。
本の印税率の相場はどれぐらい?
印税が発生する種類はCD&DVDや音楽など様々あるとご紹介しましたが、ここでは本の印税率の相場(紙・電子)をご紹介できればと思います。
紙の本での印税相場
先に、紙の本での商業出版と自費出版の印税相場をご紹介致します。
商業出版ですと、関わるライター様と折半するケースが多く、著者4%・ライター4%などの印税を分配し、制作する事があります。
その他、一般的な印税相場としては、5%~10%の範囲内に収まる事が多い印象です。
一方、自費出版の印税相場は、10%~最大50%の範囲内で印税を支払うケースがあります。
但し、自費出版業者は、出版後の更新料や書籍保管料で数千円程度~数万円ほど年間で必要になる為、事前に理解しておくべきポイントです。
関連記事:自費出版の費用や相場を徹底調査!格安で最適な出版方法とは?
電子書籍の印税相場
電子書籍に関して、一番有名なのがアマゾンkindleですが、アマゾンkindleでは35%もしくは70%の印税率を設定する事が可能です。(Amazon Kindleの詳細はこちら)
他出版社の電子出版の印税率の相場は、10~20%前後で設定されている事が大半です。
本の印税は、どれぐらいの期間で支払われるものなの?
本の印税って、どれぐらいの期間で支払われるものかご存知でしょうか?
これもあくまで相場となり、各出版社によってマチマチですが、3か月毎、半年毎、1年毎のどれかで対応しているのがほとんどです。
また別の支払タイミングとして、”印税額が○○円に達した時点で支払う”というケースも存在します。
上記のように、一定の期間での支払い、もしくは一定の印税額に達した時点での支払いの2パターンが存在します。
印税が発生する2タイプの方法とは?
印税には大きくわけて、発行部数に応じて印税が発生するタイプと、実売部数に応じて印税が発生するタイプの2パターンが存在します。
発行部数に応じた印税発生・・・販売した冊数ではなく、刷り出しを行った数に対して印税が発生するパターンとなる為、売れなかった場合にでも、保証される印税額となります。
実売部数に応じて印税発生・・・実売なので、実際に売れた冊数に応じて印税が発生するパターンです。
発行部数に応じた印税の発生は、出版物の販売部数があまり見込めない場合に、この条件で進める事ができると、著者にとっては有利です。
1,000冊を発行したとして、全く売れなかった場合でも、1,000冊に対して印税は保証されているので、余計な心配を抱える必要がありません。
実売部数に応じた印税の発生は、販売部数が見込める本の場合であれば、この条件で進める事がおススメです。
売れれば売れる程、印税額は積み重なっていきますが、反対に印税保証はないので、売れる事が大方見込める場合は、実売部数の印税発生が有効です。
もし、ご自身の著作物が印税に関わるような事があるようでしたら、上記のどちらが契約内容に記載されているのかしっかり確認しておきましょう。
印税ってどのような税金がかかってくるの?
印”税”なので、もうすでに税金がかかっていて、追加で課税されない印象を受けそうですが、しっかり課税対象となるので、事前に理解しておきましょう。
印税に課せられる源泉所得税
印税にかかってくる税金というのが、源泉所得税です。
1冊売れた印税額に対してかかってくる税金となります。
上記の事例から、1,000円の書籍で8%の印税率なのであれば、8円を源泉所得税として支払う必要があります。
上記の場合の印税額が80円なのに対して、源泉所得税は8円となり、残り72円です。
勘の良い方は、この源泉所得税がいかに大きな数字であるかはご理解いただけたかもしれません。
この源泉所得税が、印税生活を送れない一番の理由なのですが、後程解説致します。
補足として、この源泉は個人にのみかかってくるものなので、法人として出版している場合、源泉はかかりません。(詳しくは税理士様まで)
印税の所得区分は?
少し難しい話になりますが、所得区分についてもご紹介しておきます。
印税は、所得区分として「事業所得」または「雑所得」のどちらかに区分されます。
本業としての印税収入であれば「事業所得」となり、副業としての印税収入であれば「雑所得」となります。
但し、ここは専門的な内容となる為、必要な際は、担当税理士さんか税務局へ確認をとりましょう。
ミリオンセラーでも印税生活を送れない理由
ここで冒頭でお伝えした、100万冊のミリオンセラーを出せたとしても印税生活で一生を終えることができない理由をご紹介します。
上記で、印税に対して源泉所得税が課せられる事をご紹介しましたが、印税額が100万円を超える場合、20%の源泉所得税が課せられることになります。(※正式には20.42%)
となると、先程、ご紹介した事例で算出した場合
源泉所得税:8,000万円 × 20%=1,600万円
差引後利益:8千万円 ー 1,600万円=6,400万円
8%の印税率でミリオンセラーを出せたとしても6,400万円の売上げしか得る事ができないのです。
また、源泉所得税として1,600万円を支払う必要があるということです。
子供1人が居て、幼稚園から大学まで全て公立で生活した場合、「1世帯で2億2,000万円」必要と言われています。
何歳で100万冊のミリオンセラーを出せるのかによって、状況は変わってくると思いますが、仮に30代で出せたとしても、老後の生活資金の事などを考えると、少し余裕を持てる程度の金額である事がわかります。
なので、冒頭でお伝えした通り、「100万冊のミリオンセラーを出せたとしても、印税生活は厳しい」という結論になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は印税について、網羅的にご紹介させて頂きました。
印税はあくまでオプションとして認識しておくと、ちょうど良いかもしれませんね。
最後に、よくある質問に対する回答を記載して終わりにしたいと思います。
よくある質問
よくある質問として、下記に記載しておりますので、参考までに御覧ください。
印税生活の経験がある人の話を詳しく知りたいのですが。
印税生活についての謎や秘密を、余すところなく紹介されている「森 博嗣」さんの書籍がおススメです。
総部数1400万部で約15憶円稼いだ著者の当時の心境などが知れて、とても面白いですよ。
著者が亡くなった後の印税ってどうなるの?
著者が亡くなった場合、まず、著作物に関する著作権を後継者に相続する必要があります。
その際に相続税が必要になり、相続後も引き受ける印税額に対して源泉所得税が必要となります。二重課税の可能性もありますが、これ以上は専門的な内容となる為、気になる方は税理士様へご確認下さい。
芸能人が出した本の印税額が知りたい
芸能人の本の印税の件で一番有名なのが、お笑い芸人の麒麟 田村さんですね。
「ホームレス中学生」という本を出版し、印税額は2憶円とも言われております。
ただし半分程は税金で支払ったり、吉本興業も間に入ってることから、取り分はあまり多くなく、すぐに使い果たしてしまったようです。