出版業界はオワコンなど数年前から、話題になっていますが、実際の所どうなのでしょうか?
皆さん気になる部分かと思いますが、実際の所、誰も答えがわからなくてモヤモヤしている方も多いと思います。
当記事では、様々な過去のデータを参考に、今後の出版業界の未来をBookTripの考察含め、お伝えできればと思います。
▶ また出版業界の中でも伸びている市場もあるので、出版業界は変革期真っ只中である。
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出版業界って本当にオワコンなのか徹底検証
出版業界は年々衰退していると噂されており、お先真っ暗なイメージが強いですよね?
出版業界に興味があって、就職や転職なども考えているけど、出版業界がオワコンって言われているのであれば、少し考えたいなぁと思っている方も多いかと思います。
真相は一体どうなのか、まずは市場規模や販売数のデータを見ながら、順に解説致します。
出版業界の現状|市場規模の推移
まずは、出版業界の市場規模からみていきましょう。
(引用:全国出版協会)
2015年からの出版業界(紙+電子)の市場規模推移なのですが、徐々に減少し、2018年時点では1兆5,400億円となっています。
因みに、2018年のソフトバンクの売上が9兆6,000億円となっており、出版業界と比較すると約10倍ほどの市場規模となります。
但し、2018年以降は紙出版としては減少しているものの、棒グラフ上部である電子出版の市場は拡大傾向にあり、今後も伸びていくものと考えられます。
総じて出版業界の市場推移としては鈍化しつつも衰退傾向にあるものと予想されます。
紙出版物の売上低迷が要因
出版業界全体の衰退傾向は上記で理解できたかと思いますが、どういった理由で衰退しているのか、下記画像をもとに、もう少し詳しく見ていきます。
引用:出版科学研究所
上のグラフは、紙で発刊されている書籍・月刊誌・週刊誌の販売額の推移なのですが、20年前からずっと減少傾向である様子が伺えます。
月刊誌や週刊誌は、新聞や雑誌などが該当します。
このデータからわかるのは、紙発行である新聞や雑誌、書籍の販売部数が年々減少している影響により、出版業界市場全体が低迷している事になります。
上図の減少傾向は印刷業界にも影響しており、1997年をピークに出版業界市場同様に右肩下がりに推移しています。(下記グラフ参照)
引用:日本印刷産業連合会
このデータから紐解けるのは、紙で発行している書籍・雑誌・新聞が年々売れにくくなっている為、販売部数が減少し、結果、出版業界・印刷業界が長年低迷している事がわかります。
コミック類も販売額が減少
紙のコミック類も同様で、20年前から徐々に減少傾向です。
1997年のコミックス+コミック誌の合計販売金額は約5,800憶円程度であり、そこから20年たった2017年では2,800憶円と約半分ほどの規模まで減少してる事実があります。
あまり知られていない返品率の高さ
実はあまり知られていないのが、紙の書籍の返品率の高さです。
出版業界の目標としては、返品率20%以下なのですが、実際の返品率は40%越えで、ここ20年程変わっていません。
返品率が4割というのは、1,000冊を全国の書店に分散して並べる事ができたとしても、その内400冊は返品されることを意味します。
返品率に関する記事は、こちらの記事目次内の「出版流通の基礎知識と返品率の事実」をクリックしてご覧ください。
出版業界オワコン説の途中経過
ここまで、市場規模や過去データから分析して紐解いてみましたが、現時点では、出版業界がオワコンと言われても仕方がないですね。
ただ、電子書籍市場が伸びていると言う事実もあるので、出版業界の中でも“衰退している市場”と“拡大している市場”がある事は理解しておきましょう。
出版社別売上ランキング
次は、出版業界の中でも「出版社」に標準を合わせて、業界を紐解いていきます。
まずは、紀伊国屋書店が発表した出版社別売上ランキング(2018年)をご紹介致します。
各出版社の書籍や雑誌などが、どれほど売上規模があるのか、ランキング形式でご紹介できればと思います。
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1位は、講談社で30億円の売上げでしたね。
他の2位~5位でも約30憶円~10憶円程度の売上規模があり、よく聞く出版社がランキング入りしています。
紀伊国屋書店だけでの売上げなので、他の書店も合わせると、各社もっと売上げが上がっている事になります。
因みに、1位の講談社の決算情報を調べてみると、下記内容が掲載されておりました。
期間:H29.12.1~同30.11.30
売上高:1204憶円(前年比2.1%増)
-その内-
雑誌:509憶円(同8.9%減)
書籍:160憶円(同9.4%減)
広告収入:50憶円(同8.6%増)
事業収入:443憶円(同24.1%増)
その他:10憶円(同16.8%増)
不動産収入::31憶円(同0.6%増)
(※一桁以下の記載は省略)
上記のように、大手出版社である講談社も雑誌や書籍の売上げのみが減少しており、出版業界全体が減少傾向にある事が、これで証明されている事になります。
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出版業界の平均年収や残業時間は?
さて、次は、出版業界の平均年収をご紹介致します。
ここでご紹介するデータは、あくまで推測値であり、正確な数値ではありません。
複数社が公表している年収データの平均をもとに作成はしておりますが、ざっくりとした数値となっております。
大手出版社:900万円~1200万円
中小出版社:250万円~600万円
調べているとやはり大手出版社の平均年収は高い印象を受けました。
但し、所属する部署によってバラつきはある印象で、減少傾向である書籍や雑誌部門は、中々年収が上がりにくいのではないでしょうか。
他事業で、収益を補填している為、出版社としての役割が変わりつつあり、数年後には、雑誌や書籍部門は無くなる可能性があるかもしれませんね。
中小出版社は、想定通りの平均年収ですね。
出版業界の残業は?
次は、出版業界の残業についてご紹介致します。
出版業界は古い体質であるのに加え、書籍や雑誌は、工程が複雑で、いくらでも時間を費やせてしまう為、平均して60時間以上は残業があるみたいですね。
酷い場合は、150時間以上はザラである評価レビューも見かけました。
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出版業界に関わる業種の動向
次は、出版業界に関わる業種についての動向をご紹介致します。
出版業界の中でも、書籍や雑誌の制作・流通・販売に関わる業種の紹介や動向をお伝えできればと思います。
まずは取次会社から。
取次会社
一般的に、取次会社と呼ばれている中間業者から解説致します。
出版業界で言う取次会社が、以下のような会社です。
- 日本出版販売(日販)
- トーハン(TOHAN)
- 大阪屋栗田
- 図書館流通
- 日教販
取次とは、卸しのような役割を担っており、出版社と書店を繋ぐ流通業者の事を指します。
上記の取次業者の売上ランキングがございますので、下記でご紹介致します。
出版取次売上ランキング
上記でご紹介した取次業者が、どのような売上を上げているのかランキング形式でご紹介致します。
参考:日本著者販促センター
日販・トーハンがほぼ独占状態なのが、このグラフからわかるかと思います。
グラフを見ると、1位である日販の売上が5,800憶程度なので、一見すごく見えますが、下記のグラフをご覧いただけると少し意見が変わってくるかと思います。
ここ5年で売上がずっと右肩下がりで、H27年とH31年の売上比較をすると約15%程減少しています。
体質が古く、様々な仕組みが出来上がってしまっている為、抜本的な組織改革を実施しない限りは、ずっと低下していく事でしょう。
最近も日産自動車による大リストラ計画が実行されるニュースが話題になり、世界で1万人規模で人員削減される予定です。
リストラの一番の原因が売上低迷なので、上記でご紹介した日販にも関係する事だと感じます。
書店
次に、出版業界に大きく関係する書店をご紹介します。
良く聞く書店として挙げられるのが、以下のリストかと思います。
- 紀伊国屋書店
- 丸善ジュンク堂
- 未来屋書店
- 有隣堂
- くまざわ書店
出版社は、この書店での販売数に応じて売上が大きく左右しますが、昨今の書店数減少や販売部数減少により、出版社・書店ともに売上が減少し続けております。
補足ですが、書店は、1冊辺り大体20%前後の取り分があり、その取り分により売上が構成されております。
では次で、各書店の売上ランキングをご紹介致します。
書店売上ランキング
上記でご紹介した書店がどれほど売上げがあるのかランキング形式でご紹介致します。
書店業界の最大手である紀伊国屋書店が1位で、約1,000憶円の売上げとなっており、2位~5位は数百憶円規模の売上げとなっております。
紀伊国屋書店の売上げ推移を見ると、ここ3年は微減程度であり、影響はないように見えます。
利益率も変動がないようですので、売上げをうまくコントロールしている様子が伺えます。
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出版業界に就職もしくは転職したいけど、将来性がないのでは?
ここまで、出版業界の各社の業績や市場規模から分析し解説してきましたが、転職や就職する上で参考になるデータであったかと思います。
業界が低迷しているのはわかるけど、出版業界に就職したい!という方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方に結論からお伝えすると、「出版業界の将来性は期待できなくはない」」ということです。
あやふやな解答となっておりますが、その理由を下記で解説致します。
大手出版社が、変わるのは難しい
当記事内でご紹介した通り、大手企業というのは、様々な業務が全て仕組化されており、徐々に変わっていくというのはすごく難しい事です。
各社、危機感を感じながら様々な施策を検証実行されていると思いますが、どこもまだ芽が出ていない状況かと感じます。
ただし、大手出版社に関しては、他事業で売上を補填できている為、すぐに倒産する事はなさそうです。
出版社の強みは、各コンテンツの出版権や著作権といった権利を握っている事です。
この権利を現代に合わせる形で、うまくビジネスができると勝機が見え、新たな出版事業としてリスタートできる可能性は十分にあります。
その可能性を見出せそうな出版社を選んで、就職・転職する選択肢はアリだと感じます。
出版業界の働き方
出版業界での働き方は様々あり、どちらかというとブラック気質な印象ですが、それを好んで働いている方も一定数いらっしゃいます。
出版に関わるというのは、著者が居て、コンテンツがあって、著者の意向を汲み取りながらも、読者の事を考えて、出版物として整えていく工程があり、編集や制作として携わるのは、とても楽しく熱中できる仕事です。
仕事内容だけを見れば、おススメしたいですが、労働環境や勤めたい出版社の経営状況を把握した上で、判断する事が理想的かと感じます。
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市場が伸びつつある出版業界の裏側
衰退傾向である出版業界の中でも、伸び始めている市場がいくつかあります。
それは以下2点です。
- オーディオブック
- オンデマンド出版
下記で詳しく解説致します。
本が聴ける!オーディオブック業界
本を聴くって違和感があるかもしれませんが、アメリカでは2018年のオーディオブックの売上が累計約1,000憶円に達し、2017年から24.5%の増加となっています。(参考:ForbesJapan)
日本では、まだ市場規模が300憶円に満たない程度ですが、音声を聞く習慣がある日本でも必ず伸びてくる市場となります。
オーディオブック業界のπを取ろうとしているのもアマゾンです。
アマゾンは「オーディブル」というオーディオブックサービスを2018年からダウンロード販売開始しています。
実際に本を聴いてみると、読書とは違った感覚で、読む理解と聞く理解の2つを味わう事ができます。
現在、1冊目は無料となっているので、下記の記事からおすすめのオーディブル本を味わってみて下さい。
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成長率150%のプリントオンデマンド業界
さて、ここまで、出版業界に関してデータを紐解きながら解説してきましたが、実は、データとして開示されている情報が少なく、お伝えしていない情報がございます。
それは、出版業界の中で “ オンデマンド出版が伸びつつある ” という事です。
関連記事:プリントオンデマンドとは?
プリントオンデマンドとは、紙の出版物を注文が合ってから1冊単位で印刷・製本し、購入者の元へ届けるサービスです。
紙の書籍なのですが、無駄な在庫を抱える事なく、半永久的に出版可能である為、徐々に浸透し出してきている現状があります。
プリントオンデマンドを2012年頃から展開しているアマゾンによると、売上げが倍々で拡大傾向にあるとのこと。
2017年には、サービスを開始した2012年に比べて、21.7倍の売上げ規模となった。書籍事業のなかでは規模は小さいが、大きく成長している事業領域になっている。2018年には、前年比51%増と、1.5倍もの成長を引き続き遂げている
(引用:PCwatch”絶版本も買える。必要なときだけ製本するアマゾンの「プリント・オン・デマンド」の仕組み”)
まだまだ潜在的で気付かれていない領域ですが、水面下では徐々に市場が形成され始めており、出版業界に新たな光が差し込んでいる状況とも言えます。
今後、出版方法の選択肢がさらに広がる
近年、スマートフォンの普及により、書籍の購入方法が書店での購入ではなく、スマホやPCからのネット購入へ急速に移行しております。
プリントオンデマンドの仕組みを活用する事で、著者は出版のハードルが低くなり、これまでよりも出版しやすい環境が整っています。
まずは、紙で出版してみて、販売数の経過を見ながら、販売数に応じて電子化を検討し、長期では、紙+電子の両方の需要に答え続ける事が、著者にとって最大のメリットとなります。
上記の事から、出版業界は一度オワコンになっているとお伝えしましたが、新たな兆しも見え始め、出版業界が変革期にある状況だとご理解いただけるかと思います。