子供が自立的に勉強するには
“塾を上手に利用する事”が一番の近道です

本書の読みどころ

▶ 自分の子供には、良い大人になってもらう為に、しっかり勉強してもらいたい
▶ 自ら勉強する子供になってほしい
▶ 遊ぶ時間と勉強する時間を割り切ってできる自己管理能力を高めたい

お子様をもつ親御さんは、上記のような気持ちが少なからず共通してあるのではないでしょうか?

上記の項目に共通して必要な子供の能力が「自分で考える習慣」や「自分で調べて理解する」ことです。

上述した能力を、家庭や学校だけで養えるなら塾なんてものは必要ありませんが、うまく利用するだけで、その能力が身に付くのであれば活用しない手はないですよね?

塾 ⇔ 家庭 ⇔ 学校 をうまく連携させ、子供が自立的に学習できる環境を準備する方法が、本著に記されています。

著者紹介

塾を上手に利用しよう!
塾との連携で家庭でも学ぶ楽しさが身につく

三田村 泰希(みたむら たいき)

大学在学中に家庭教師や塾講師のアルバイトをしながら子どもの教育について考え始める。一度は得意のコンピュータの知識を活かしシステムエンジニアとして技術と社会経験を積む。
その後、コンピュータが得意とするデータ分析や管理と、人が得意とする教育指導や精神的ケアを融合した独自の「個別対応」指導を実践する泰成ゼミナールを開講。教育コーチング、心理カウンセラーの資格を取り、人との繋がりを意識した個別対応サービスの強化を目的とし、株式会社泰成パートナーズを設営する。

変化する教育の目的や環境

「みんなと同じでなければ不安」という感覚は、日本人特有と言われます。もちろん、どの国にも似た感覚はあるでしょうが、まるで個性的であってはいけないような、出る杭を打とうとする圧力は、日本独特と言えるでしょう。日本に移住してきた欧米人は、あまりにも「空気を読む」のを求められる風潮に驚くようです。「和」を尊ぶのも大切ですが、他人の言うなりでいるのに慣れてしまうと、自分で考えたり工夫したりできなくなってしまいます。創意工夫のできない大人ばかりでは、発明も発見もなく、進歩のない社会になってしまうのではないでしょうか。
そうした危機感もあってか、教育をとりまく環境は年々変わっています。たとえば内申点が重要視されるようになってきました。昔は入学試験で点数をとりさえすれば合格できる感覚が強かったのですが、今は宿題をちゃんと出しているか、学習態度は熱心かといった、日頃の積み重ねが注目されるようになってきているのです。
また「自分で考えて勉強する」に主眼をおいた、「自主学習」と呼ばれる宿題を採用する学校も増えてきました。自主学習とは、たとえばなんでもいいからノート1ページを使って勉強してきなさいといったもので、子どもたちの創意工夫を促すものです。
社会環境が変化していく中で、塾のあり方が従来通りではいけません。作業のように勉強をさせるのではなく、興味をもって学べるよう、サポートしなくてはならないはずです。でも、塾の門を叩く保護者の方たちの願いは、いまだに「成績アップ」がほとんどです。もちろんそれは大事ですが、それだけで良いのでしょうか?
僕はいろいろな塾で講師の経験をし、塾目線で子どもさんたちを見てきました。そして心理カウンセラーの資格をとり、塾の存在意義は、勉強を教え込むことだけではないと感じるようになりました。むしろ、それ以外の能力こそ、教えるべきではないでしょうか。塾は、子どもさんが自分の意志で何を学びたいか考え、自力で調べ、発見し、理解する達成感と喜びを味わえるよう、成長していく場であり、機関であるべきだと考えています。

子どもさんに願うのはなんですか?

しかし、教育環境が変わっても、子どもさんたちが自立し、創意工夫できる状況にはいまだ至っていません。自主学習が創意工夫に結びついた実例も、実際にはそう多くないのです。多くの自主学習の条件は、1ページさえ埋めれば、ドリル問題を解いてもいいし、国語の教科書を写してもかまわないとされている場合がほとんどなので、ただページを埋めるだけの「作業」に終始してしまう子どもさんが多いようです。そしてそれは「自分で考える習慣」がなく、「自分で調べて理解する達成感」を知っている子どもさんが少ないのが原因ではないかと考えています。
では、創意工夫のある自主学習とはどのようなものでしょう。たとえばあるゲーム好きの子どもさんは、自分が好きなキャラクターゲームの歴史を調べて年表にし、提出したそうです。言葉で表現すると、簡単な作業のように感じるかもしれませんが、この課題を達成するには、たくさんの試行錯誤や工夫が必要です。まずゲームの歴史をどうやって調べたらいいのかわからなければ、何もできません。今はパソコンがあれば、インターネット検索で比較的簡単に調べられるとはいえ、どのような単語で検索するか、どんなサイトを調べるかなど、自分の頭で考えるべきものがたくさんあります。そして、調べた歴史をどのように表現したらわかりやすいかと、これも自分の頭で考えなければなりません。その結果、年表というフォーマットにすると決めたら、それを形にしてアウトプットしなくてはならないのです。具体的な作業を考えると、小さなお子さんにはハードルの高い考察や選択、工夫がたくさん含まれているのがわかるでしょう。
しかも、やる気を阻害する事象はたくさんあります。普段から自分で調べる習慣がなく、インターネットで何が検索できるか実感をもって知らなければ、どうやってゲームの歴史を調べたら良いかわからないかもしれません。人に教わりながら歴史の概要を知っても、自分で考えて決める決断力がなければ、歴史を文章で表現するか、年表にするか選べないでしょう。なにより、親御さんが「ゲームを調べるなんて、遊んでばかりいると思われてかっこわるいからダメ」と、自分の意見を押しつけてしまえば、子どもさんはやる気をなくしてしまうに違いありません。後の章で詳しくお話しますが、保護者の接し方もとても大切です。

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