プロローグ
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仕事に寄せる従業員の思い、姿勢は人それぞれ。でも、それがほんの小さなきっかけで、より発展的なものに大転換を果たすことがあります。
これまで無意識に流していた仕事。
ただの「収入の手段」としか考えられなかった仕事。
苦しみ多く、報われることが少ないと感じていた仕事。
あるいは「まあ、こんなものだろう」としか思えなかった仕事。
それらがカイゼン(改善)活動によって「楽しい!」と感じられるようになり、仕事の本当の価値を発見し、俄然ファイトが湧いてくる――。
私の目標はそんな瞬間を、ご縁があったすべての方に体験していただくことです。
また、悩み多き経営者の方々が、ほんの小さなきっかけで、困難だと思っていた壁を、やすやすと突破することがあります。
従業員のモチベーションが一向に上がらない。
いいリーダーが育たず、現場マネジメントがうまくいかない。
コスト意識が薄く、コストダウンが進行しない。
いつもお金のやりくりに東奔西走している。
それらをカイゼンプロジェクトによって解決へと進め、「こんなに効くのか!」「やってよかった!」と笑顔で喜び合う――。
私の目標はそんな瞬間を、ご縁があったすべての方に体験していただくことです。
私は大学卒業後に入社したNEC(日本電気株式会社)を29歳で退社してコンサルティング法人に移り、そこで46歳まで経験を重ねて独立、48歳のときに「KWPコンサル株式会社」を立ち上げました。
カイゼン(K:Kaizen)をきっかけに、利益(P:Profit)に結びつける。この間、山あり谷ありの道のりながら、前向きに明るく、地道に歩み(W:Walk)、着実な成長・進化を遂げ続ける。これがポリシーです。
以降、製造・物流業を中心にコンサルティングをおこない、カイゼン施策の実行を通じて経営改善を進めています。これが実にドラマチックなのです。
ひとりの従業員が、ほんの小さな作業をカイゼンする。そして小さな成果がでて周りから認められると、その従業員はほかの作業もカイゼンしよう! と意欲が掻き立てられます。
すると、その熱が周囲に飛び火し、徐々に社内のさまざまなひとへとカイゼン活動が広がっていきます。そうして会社のムードや在り方が変わり、会社の命運も、より発展的なものに変わっていきます。
もちろん、事は簡単ではありません。カイゼン文化が根づいていない組織では、カイゼンの手法やヒントを提示しても、人々は微動だにしないか、動いてもすぐに活動が頓挫してしまう傾向にあります。
トップがいくら笛を吹けども現場は踊らず、「無関心」「知らんぷり」「非協力」「抵抗」など、声なき声の前に進まないことも少なくなく、現場のカイゼンを推進する立場にある方も、「ひとを巻き込んでの現場マネジメントは本当に難しい」と嘆き節を口にします。
でも「心・技・頭」がつながったとき――。ひとが動き、組織として歩み出すことができます。私はそんな場面に、数多く立ち合ってくることができました。これは本当に幸せな体験です。
現場のカイゼンによる経営改善は、まず会社の健康診断から始まります。会社を外から俯瞰で眺め、同時に現場の細部に接近して凝視し、さらに会社の過去・現在・未来を大局的に見据えます。そしてその会社に最善・最適なオーダーメイドの治療をほどこしていきます。
会社が抱える症状はそれぞれですが、カイゼンの対象に、限界はありません。そして、そこで起きる変化にも、限界はありません。
ここでは、現場で起こる変化を味わいつつ私が学んできた、組織の力をグイグイ育てるカイゼンのヒントについて、皆さんにお伝えしていこうと思います。私がおよそ10年にわたって綴ってきたブログ「コンサルノート by kaizen walker」をもとに、大幅に加筆・修正をおこなって1冊に仕上げたものです。
経営者と、働くひとと、会社がともに幸せな成長を刻む、ひとつのヒントになれば幸いです。