学校と家では、お子さんの見せる〝顔〟が違う
学校など、家の外に出た時、特に親がそばにいない時、お子さんがしっかり振舞っている、普段話さない丁寧な言葉遣いをしている、周りに気を配っているという様子を見たり聞いたりしたことはありませんか?
親だけが知らない一面をお子さんはお持ちかもしれませんね。けれど、子どもというものは、そもそも自分のことをあまり深く考えて分析したりなどはしません。なんとなくやっているのです。
MCAではレッスンの始め、つまり進級や新学期の時期には、まず自分のことについて答えるアンケートを取ります。それに答えていくことで「自分はこんなことを考えているのか」と知ることができ、なんとなくの部分がしっかりとした明確な言葉になります。それをクラス内で発表してもらいます。
今の自分をきちんと知って、それを話し、こんなことをしたい、こんなことが好き、こんな気持ち、と堂々と言えるようになることで自信が湧いてきます。自信が湧いてくると想像的、創造的になり、行動を起こしやすくなります。幼児や小学校低学年には、それができる子どもが多かったりしますが、高学年になるにつれてあまり話さなくなります。自分の気持ちに蓋をしたり、話すことに慣れていなかったりするのです。
自分のことを話すのも効果はありますが、他の人の話を聞くことも同じくらい大切です。自分とクラスメートとの共通点や違いを感じることは大きな刺激になります!
こちらがそのアンケートの一例です。
1.MCAでは何を楽しみたいですか?
2.どんな方法を取ると一番ものを覚えやすいですか?
3.どんなマンガ、アニメ、ドラマ、本、映画のキャラクターが好きですか?それはどうして?
4.将来は何になりたいですか?
5.将来はどんなことを、誰としたいですか?
6.「5.」になりたいのはどうしてですか?一言で表してください(5つ書いてね)。
7.あなたが一番やる気になるときはどんなとき?
8.あなたが一番やる気が出ないのはどんなとき?
9.一番楽しいときはどんなとき?
10.あなたの好きな言葉は何ですか?
11.あなたが人から言われて嫌な言葉は何ですか?
12.あなたの得意なものはなんですか?(得意とは楽にできること)
13.来年の3月までに何を叶えたいですか?
14.それが叶ったとき、あなたはどんな気持ちになっていますか?
15.「13」を叶えるにはMCAでどのようなことをしてもらいたいですか?
お子さんが記入したアンケートを親御さんが見ると、
「へ~、意外!」
「やっぱりなぁ」
「やる気が出ないのは私が怒ったとき! ……だって(笑)」
「そんな風に思っているんだ〜(苦笑)」
などといった感想が聞かれます。
解説しますと、「1.」に答えることで、クラスに来ることが自主的になっていきます。レッスンを自分から受けたいとの気持ちや意識が芽生えて、受け身になることを防ぎます。
「2.」の質問は自分の勉強方法を明らかにします。お子さん一人一人に合った勉強方法の見つけ方は、第二章で詳しくお伝えします。
「3.」の質問によって、お子さんが魅力を感じている、あるいは、なりたい人物像が浮かび上がってきます。「どうして?」との質問でさらに問いを深めることができれば、その子の内に秘めた憧れも聞くことができます。
「4.」を得意げに答えられるのは低学年の子どもです。高学年になるにつれて現実的になりすぎて、「お金持ち」や「サラリーマン」などと答える子も少なくありません。
「5.」は「4.」の質問をもっと具体的にしたものです。これらは日頃どんな意識を持って、想像したり、考えたりしているかによって、答えの出し方やその早さが相当違ってきます。初めてクラスに来たお子さんに比べると、普段から考えることを繰り返しているお子さんの方がより明確にこれらの質問に答えています。
「6.」の質問は、そのお子さんが大事にしていること(価値)を探る質問になります。例えば、リーダー、チームワーク、かっこいいなど、ヒントとなるワードをいくつか伝えます。一言で書くというのがポイントになります。親御さんもお子さんのなりたいものに対して「どうしてそれが良いと思う?」と聞くと、そのお子さんが何に価値を見出しているか探りやすいです。例えば、「チームワーク」と答えたとしたら、みんなの和とか仲間との協力が価値のあるものと考えており、「リーダー」と答えたら、人を引っ張っていく存在、人を束ねていくことに価値をおいていることがわかります(こちらは第五章で詳しくお伝えします)。
「7.」~「11.」の質問によって、そのお子さんへかける言葉に工夫ができますね。面白いのはそれぞれの質問によっていろいろな答えが出てくるのに、「11.」の答えはだいたい似ていることです。日頃、学校で頻繁に言い合っている嫌な言葉がどういったものかが窺えます。どの時代も同じということなのかもしれませんね。
「12.」の質問になると、どのお子さんも止まってしまいます。他の人より優れていないといけないという「得意」の概念が、こうまで人を縛っているものかと思います。そこで「得意とは苦もなくできること、楽にできることで良いよ〜」と促してあげるとスラスラ書き始め、5つでは止まらないお子さんがとても多いです。
「13.」と「14.」の質問は、シンプルな目標設定になります。こちらは次の項目でもっと詳しくお話しします。
そして「15.」の質問によって、そのお子さんの求めるものが少しわかり、今後の関わり方のヒントにもなります。お子さんが求めるものとこちらが与えるものが一致すると、お互いに嬉しいですよね。
このように、普段は見られないお子さんの〝顔〟を垣間見ることができます