特別なことはしなくて良いんです!
妊娠しやすいカラダづくりのための養生法

本書の読みどころ

不妊で悩まれている方は年々増加しています。
もし妊活に取組んでいる上で下記のような事を先生から言われると、あなたはどのような気持ちになりますか?

「そろそろ子供のいない人生を考えたらどうですか?」

上記の言葉は、とてもじゃないですが、すぐに受け入れることができる言葉ではありません。
本著では、上記のような最後通告を受けない為にも、妊活をどのように取り組んでいけば良いかを、妊活アドバイザーである著者によってお伝え致します。

著者紹介

体の中はオーケストラ
~妊活アドバイザーが教える失敗しない不妊治療~

櫛田 昇福(くしだ しょうふく)

千葉県出身。株式会社健康道場代表取締役、カリカ鍼灸院院長。鍼灸師、妊活アドバイザー、医薬品登録販売者。
関東鍼灸専門学校卒業、上海中医薬大学附属日本校通信教育課程修了。
(所属)日本鍼灸師会、千葉県鍼灸師会、日本不妊カウンセリング学会。
経済的な理由から大学進学を断念して県立高校を卒業後、医薬品専門商社クラヤ薬品(現・メディセオ)に入社。若くして営業企画部長、PMS事業部長、札幌支店長、債権管理部長を歴任後、東洋医学を志して早期退職。
退職後、上海中医薬大学附属日本校通信教育課程で中医学を、関東鍼灸専門学校で鍼灸を学ぶ。鍼灸師免許取得後平成20年にカリカ鍼灸院を開設、女性向け鍼灸院としてスタート。不妊に悩む多くの患者さんと向き合うなかで、リスクが多い悲惨な不妊治療の実態を知る。以来、安全で成功率の高い不妊治療を提唱している。

まえがき

「『そろそろ子供のいない人生を考えたらどうですか』とクリニックの先生に言われてしまいました」
その女性は、私の前で悔し涙を流していました。

わたしの鍼灸院でのカウンセリング中の出来事です。問診票には「○○A子、年齢37歳」と記入されていました。30代後半ではありますが、まだ十分に妊娠できる年齢です。それにも関わらず「もうこれ以上不妊治療を続けても妊娠は期待できません」と最後通告されてしまったのです。 なぜ、このようなことになってしまったのでしょうか。

実は、A子さんのような患者さんは初めてではありません。今まで、同じような患者さんが何人も来院されています。女性のみなさんは妊娠を夢見て、希望に胸をふくらませ不妊専門クリニックのドアをたたきます。高額な費用がかかる体外受精をしている人は特に期待が大きく、自分は妊娠できると信じて臨んでいるはずです。
ところが、費用が高額のわりに意外と成功率が低いのが体外受精。なかなか結果を出せず、「次こそは、次こそは……」とくり返していきます。気がつけば2年、3年、あるいはそれ以上の月日が流れ、振り返ってみると費用も莫大な金額になっています。

不妊治療中の患者さんは、ある意味、すべてを投げうって懸命に治療に臨んでいます。その精神的、肉体的、経済的負担の大きさは察するに余りあります。それなのに、信じていたクリニックの先生から最後通告を受けてしまう。患者さんにとって、それはあまりにも辛く、悲しい結果であり、後悔してもしきれないことでしょう。その行き場のない、やるせない気持ちが悔し涙となってこぼれ落ちるのでしょう。

わたしは、千葉県船橋市に鍼灸院を開業して今年で11年目を迎えました。鍼灸師は、わたしの第2の人生として選択した職業です。50歳の誕生日に自分の人生を振り返り、残りの人生で少しでも人の役に立つことをしようと考え、東洋医学を志しました。前職は医薬品専門商社に勤務しており、病院、クリニック、調剤薬局に医薬品を販売する仕事をしていました。当時から、医薬品の効果と副作用は裏腹の関係、つまり「もろ刃の剣」であることを強く認識していました。そんな薬物療法中心の西洋医学とくらべて、鍼灸などを取り入れる東洋医学は「人にやさしい医療」と言えます。それが、会社を退職して第2の人生をスタートさせるという決断を後押ししました。

私が鍼灸院を開業した2008年の頃は、10組に1組のカップルが不妊カップルといわれていましたが、なんと今は6組に1組が不妊カップルの時代になってしまいました。2015年の新生児数100万8千人のうち、体外受精児は約5%の5万1千人になっています。体外受精児の増加傾向は今後も続くことでしょう。しかし、その陰で冒頭のA子さんのようなケースも、間違いなく増えているのです。

A子さんのように最後通告を受けないまでも、似たようなケースはもっと多いはずです。体外受精を何度くり返しても結果が出せない。長い年月と投入した莫大な費用を考えると、やめるにやめられない。出口の見えない闇の中で、もがき、苦しみ、悲痛な叫びを上げています。A子さんのように最後通告を受けてしまったほうが、逆に楽になれるのかもしれません。わたしも、このような患者さんにお会いするたびに、やりきれない気持ちになり胸が痛みます。

当院のような地方の小さな鍼灸院にすら、同様の患者さんが多数来院されているのですから、このように大変な思いをしながら不妊治療を続けている方は全国規模でみれば相当数いることが推測できます。
日本国内で2015年に行われた体外受精は42万4151件、生まれた体外受精児は5万1001人(日本産科婦人科学会まとめ)です。体外受精件数と出生数にはズレがありますが、単純に計算しても実に37万3千件の体外受精が出産に結びついていないことになります。

わたしは鍼灸師として「女性のみなさんに不妊治療のリスクを知っていただき、より安全な方法を選択してほしい」との思いで、今回筆を取りました。
自分の体を守れるのは自分だけです。本文をしっかり読んで「失敗しない不妊治療」を実践してください。危険な治療を避けて安全な方法を選択することで「妊娠・出産」というゴールが見えてきます。

この本は、これから妊活を始める方、妊活中の方、妊活女性をサポートされる方にぜひ読んでいただきたいと思います。さらに、国、地方自治体などで少子化対策を担当されている行政関係者の方にも、ぜひ手に取っていただければと思っています。

Close