療養期の過ごし方
特に休職初期には、仕事や職場に関することやストレスの 原因になる刺激をできるだけ遠ざけ、心身が休まる環境を整えましょう。また、用事や人との約束など「○○すべき」や「○○しなくてはいけない」という予定・決め事はプレッシャー になったり、できなかった時に落ち込んだりする原因になりますので、避けるほうが良いでしょう。以下に具体的な望ましいこと・避けるべきことを挙げますので、参考にしてください。
望ましいこと
- 決められた通りに薬を飲み、薬に関して心配なことは主治医に尋ねる
- 十分な睡眠時間を確保する
- 日中も眠たければ体が命ずるままに睡眠を取ったりダラダラして過ごす
- 家事が負担に感じるようであれば、家族にお願いしたり、実家に帰省するなどして日常生活の負担を軽くする
避けるべきこと
- 仕事や、仕事に関わる勉強などをする
- 必要な面談や手続き以外の用事で会社に立ち寄る
- あらかじめ決められた頻度や方法を超えて、会社の上司や同僚と連絡を取り、仕事の状況などを尋ねる
- 「○○しなくては」という思いから用事をこなしたり、外出したりする
- 「○○までに○○をする」など、期限を定めた課題の設定や決め事をする
- 人と連絡を取ったり、会う約束をする
こころの病気の薬物療法
薬物療法について
こころの病気を治療していくにあたって使われる薬には、主に以下のようなものがあります。
■抗うつ薬(SSRI・SNRI など)
セロトニンやノルアドレナリンなど脳内の神経伝達に関わる物質を調整することで、効果を発揮します。 抗うつ薬と呼ばれますが、不安やパニック発作にも効果を発揮し、うつ病などの気分障害や不 安障害の治療においてメインとなる薬です。
■抗不安薬
不安・緊張などの症状を緩和し、心身をリラックスさせる薬です。抗うつ薬を用いた治療の補助的役割として使用されることがあります。
■睡眠薬
寝付きや睡眠の質を改善する薬です。 睡眠は、心身の調子を整える上で最も基本的かつ重要な役割を果たすものです。睡眠の時間や質に問題が認められると処方される場合があります。
抗うつ薬の効果
現在、精神科で使われている薬は、臨床試験によってその有効性が確か められています。抗うつ薬も、プラセボ(偽物の薬)を飲んだ場合に比べ て、うつ症状が治まりやすくなったり、再発を防いだりする働きが認められ、 主要な治療薬となりました。 抗うつ薬によって適切な治療が行われた場合、うつ病患者さんの約7割 は症状が良くなると言われています。 現在、最も有効な治療法は薬物療法 であると考えて間違いないでしょう。もちろん、適切な治療を行うためには、主治医の適切な判断が必要です。しかし、その適切な判断は、患者さん自 身に用法・用量を守って服薬してもらい、服薬後の症状変化や副作用等を 報告してもらうことで可能になるものです。 患者さん自身も、薬の特徴や 適切な飲み方について知っておくと治療がスムーズになります。
抗うつ薬の使い方と注意点
効果があらわれるまでに時間がかかる
効果があらわれるまでには、2~4週間程度かかります。 飲み始めに 効き目を感じられないことは自然なことです。 効かないからといって 自己判断で服薬を中止するのはやめてください。
飲み始めは少量から始め、徐々に有効量まで増やす
抗うつ薬は、基本的にはごく少量から始めて、副作用の様子などを みながら、徐々に有効量まで増やしていきます。 薬が増えていくこと で、「病気が悪くなったのではないか」「治療が上手く進んでいないのではないか」と不安になる必要はありません。
副作用があらわれたら主治医に相談
抗うつ薬は効果に先立って、吐き気やめまいなどの副作用があらわれる場合があります。そのため、飲み始めには効果がないばかりか、むしろ調子が悪くなったと感じる方も少なくありません。しかし、ここで服薬をやめてしまうと、抗うつ薬が役に立たないまま治療のチャン スを失ってしまうことになります。効果がでるまでしばらくかかること を念頭において、服薬を継続していきましょう。 副作用がひどく、日常生活に支障がでたり、心配になったら主治医に相談してください。自己判断で薬を増やしたり減らしたり、やめたりするのは避けましょう。
抗うつ薬は減らし方、やめ方にも配慮が必要
抗うつ薬は急にやめてしまうと、離脱症状と呼ばれる症状が出現することがあります。薬の減薬、および断薬については、必ず主治医の指示に従ってください。