「変わりたいのに変われない」
モヤモヤした“生きにくさ”を感じるあなたの解説書

本書の読みどころ

「よくわからないけど、モヤモヤする」「“自分”を生きていない感じがする」「何をしていても実感が沸かない」

年々、このような悩みを抱える方は水面下で増え続けています。

▶ 口下手やあがり症が原因でうまくコミュニケーションが取れない方
▶ 自分が少し変わっているのかな?と思い、少し怯えながら生活をしている方
▶ 同僚の話に合わせることができず、結果的に孤立し居場所が無くなってしまう方

頭のどこかで上記のような言葉が浮かぶ方にとって、解決の糸口が見つかる書籍です。
自分自身で乗り越えなければ!と思い込まず、まずは本を手に取り、自身の状況を確認しましょう。

著者紹介

“生きにくさ”の処方箋
40代女性のこころといのちのハンドブック

佐藤 美佐子(さとう みさこ)

心理カウンセラー・講師

大手金融会社からフリーター、1982年には仙台市職員となり、住民部、福祉部、総務部、税務部の業務 に携わる。2011年3月、特定疾患患者に認定される。同月発生した東日本大震災で被災、公務員として避 難所支援物資搬入作業でトラックに同乗するなど被災支援業務に従事。難病の症状が悪化したため、2013 年3月仙台市を退職、その後心理学の研鑽を積む。
自らの経験から、難病患者・被災者・支援者の心理的支援の必要性を思い、2014年2月、仙台市青葉区に カウンセリングルーム「けやき館」を開設。心理カウンセリングを中心に自己成長を目的にしたワークショッ プや傾聴講座、「毒親」自助グループを開催。これまで行ったカウンセリングは、通算2000時間以上、年間30講座以上。 夫と息子2人を持つ兼業主婦、調理師免許あり。

孤独嫌悪/横並び症候群/承認欲求

カウンセリングルームにおいでになった方の悩みや日常生活で精神的に負担となっていることなどを毎日お伺いしていますが、最近「周囲とうまくいかない」という 悩みを抱えている方、特に女性が増えていると感じています。詳しくお伺いすると「口下手で困っている」「あがり症でうまく話せない」などのコミュニケーションの問題が出てきます。さらに、「周りの人達と自分は何か違うのではないか」「私は少し変わっているのだろうか」と感じ、「少し怯えながら生活しているのが苦しい」という方が少なくありません。例えば、友人との会話で起こる 違和感を我慢した挙句に爆発し、それを繰り返すのではないかと不安になっている方。同僚の話しに合わせることができずに一人でいることが多くなり、結果的に孤立し、職場に居場所が無くなって出勤するのが辛い方など、 様々なことでうまくいかない自分を感じているようです。

もともと協調性や連帯性を重要視する日本の文化では、周囲とうまくいかない人というレッテルを貼られると、社会の中で生活するのは精神的にかなりの負担になります。個性を大事にする時代と言われていますが、実際は『みんな一緒』『横並び』が一般的な社会です。周囲に合わせて気を配るのが美徳とされ、思いやり・忖度・配慮などの言葉もあるように相手の心中や考えなどを想像・推測してコミュニケーションをとるのが当たり前。それが「自分にはできない」「無理」となると、精神的な負担は計り知れません。

また、女性は不安になりやすい傾向があるということ が研究で解明されつつあります。女性は、周期的にホルモンバランスが変わり安定しないこと、『幸せホルモン』と呼ばれる神経伝達物質のセロトニンの分泌量が男性の半分しかないことなどが原因で、気持ちを一定に保つことが難しいと分かってきました。脳内伝達物質のセロトニンには、気分を明るくする・頭をスッキリさせる・興 奮や不快感を鎮める・身体に感じる痛みを調節するといったこころの状態を左右する働きがありますので、それが不足すると、精神面ではイライラ・不安・悲しみ・怒り・恐怖・無気力など、ネガティブな感情が現れやすくなります。もうひとつ、女性には目や耳から入る情報を細かく把握する能力が優れているという特徴もあります。つまり、相手の気持ちを察したり、場の空気を読んだりするのが得意なのです。そのため、個人差はありますが、「自分が周りとうまくいってない、でも一人になってはいけない」と不安になりやすく、『孤独嫌悪』という感覚を持ってしまう傾向があると言えます。
※厚生労働省の調査にはうつ病の患者数は一般的に女性が多いとの見解もあります。

一人になってはいけないという気持ちから、自分の考えや感じていることを我慢して皆に合わせる場合もあるでしょう。始めは意識して周りと合わせていたとしても、 ずっと続けていると習慣になります。そして『合わせる 私』が当たり前になると、いつも誰かの意見を聞かないと不安になり、自分のことなのに自分では決められない というこころのクセがついてしまいます。『横並び症候群』とでも言える状態に陥ってしまうのです。
だからと言って、一人でいると誰かに自分を認めてもらうことができません。人は誰でも他の人に認められたい気持ち『承認欲求』を持っています。誰かに承認されることで「自分はこれで良い」と思い、自信を持つことができます。この自信が自己実現していく力になりますので、承認欲求は自分の人生をより良く生きるための大切なこころの働きです。女性は不安を持ちやすい傾向がありますので、コミュニティの中にいることでお互いに承認し合い、不安になりやすいこころの安定を図っていると言えます。
何か悩みがあっても友人たちと話していたら忘れてし まった……という経験はありませんか?他の人と他愛のない話をすることやグループで食事をすること、また、サークル活動などは、脳内のホルモンバランスに良い影響を与え、精神を安定させます。けれども、このようなメカニズムを知らなくても、女性は「誰かと一緒にいると落ち着く」ということを経験的に知っています。
また、承認欲求が満たされるとやる気も起きますので、グループでのコミュニケーションはむしろ必要です。女性にとって、一人ぼっちになることは仲間から外されたショックだけではなく、不安の解消ができなくなるので避けたいと思うのは当然です。しかし、自分の気持ちを押し殺して相手に合わせ続けるだけでは、本当の自己承認欲求を満たすことはできません。

Close